給与支払報告書にはマイナンバーが必要。収集は早めに

マイナンバー制度の導入によって、平成29年度 (平成28年分)の給与支払報告書に従業員や、その配偶者・扶養親族等のマイナンバーの記載が必要になりました。企業の経理担当者として給与支払報告書に不備がないよう、マイナンバー収集をしっかりと。

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給与支払い報告書とは

住民税額を決定するための書類

そもそも住民税額がどのように決められているのかを確認します。個人が支払う住民税は「個人住民税」といいます。都道府県民税と市区町村民税の総称で、都道府県と市区町村それぞれから徴収される税金。

この2つの住民税には「所得割」「均等割」があり、これらに加えて都道府県税として納める「利子割」「配当割」「株式等譲渡所得割額」の3つがあります。このうちの均等割だけが都道府県・市区町村で一律に税額が決められていて、残りの4つはそれぞれに関係する所得金額に応じて税額も決定されます。

マイナンバー制度が導入されると、各自治体が住民税の計算に使う各書類に個人の氏名や住所なとど一緒に、マイナンバーが記載されます。

このマイナンバーが一致すれば同一人物であることがわかるので、さまざまな書類を突き合わせながら判別する必要がなくなります。たとえば住民税の支払いを滞納している人のチェックも簡単になることで、未払いなどといったごまかしはきかくなると想定されています。

提出しなければいけない対象者

個人・法人問わずに「住民税及び事業所の申告書」にはマイナンバーの記載が必要。ただ個人と法人では申告書へのマイナンバー記載の時期が異なっています。

自営業の人が納付する個人住民税および個人事業税の申告書は、平成29年度分からマイナンバーが適用されるので、平成29年(2017年)3月15日までに提出する申告書に個人のマイナンバーを記載。

対して法人税及び法人事業税の申告書は、平成28年(2016年)1月1日以降に開始された事業年度分からマイナンバーを記載します。

マイナンバー記入欄は個人別明細書内に

マイナンバー制度の導入により、給与支払報告書(個人別明細書)から個人のマイナンバーを記載。事業所から「給与の支払いを受ける者」の欄に住所やその従業員の氏名を記載し、その横にある「個人番号」にマイナンバーを記入します。従業員に加えて、「控除対象配偶者」や「扶養親族等」のマイナンバーも必要です。

提出しなければならない期限

平成29年度(平成28年分)の給与報告書から、各年の1月31日まで(ただし31日が土曜日・日曜日の場合は2月第1月曜日)に提出してください。提出書類と枚数は下記のとおりです。

☑ 総括表は1市区町村宛てに1組
☑ 給与支払い報告書(個人別明細書)は1人につき2枚

給与支払報告書は、個人住民税の申告に代わる重要なもの。企業の担当者は給与支払報告書を正確に作成し、提出する義務があります。また企業の所在地がある都道府県によっては、eLTAX (エルタックス)という電子納税も受付可能ですので、確認してください。

マイナンバーとは

活用される理由

どうしてマイナンバーが導入されることになったのか、その理由までは理解している人は少ないのかもしれません。マイナンバーは全国民に関係する制度。活用されるメリットは「国民の識別・管理を効率的に行う」、「社会保障や行政サービスの充実」があげられます。

国民の識別・管理を効率的に行う

マイナンバー制度の導入によって、国民の識別・管理を効率的に行うことができます。国民ひとりひとりに固有の番号を振り分けることで、スポーツ選手の背番号のように、個人を識別しやすくなります。

マイナンバーの数字によってデジタルに識別できることは、管理しやすくなるという意味でもあります。さまざまな個人情報をマイナンバーと紐づけることで、行政や事業所等では一括して管理可能。

社会保障や行政サービスの充実

マイナンバーの導入については、これまでも検討されてきました。しかし、個人のプライバシー保護の観点から導入が見送られてきました。

導入へと踏み切った背景には、2007年に発覚した年金記録問題があります。それまでは個人情報の管理を組織ごとにばらばらに行っていたため、年金記録にミスや漏れが発生してしまいました。

マイナンバーの導入によって個人の情報を一括して管理することが可能となり、こういったミスを予防するこことも目的の一つになっています。

通知カードに掲載

通知カードは国民ひとりひとりに「個人番号」を通知するもの。紙製のカードで、券面には住んでいる市区町村の住民票に登録されている「氏名」「住所」「生年月日」「性別」と「マイナンバー」等の記載があります。

個人の顔写真は添付されておらず、本人確認を行う際には、別に運転免許証やパスポートなどの本人確認書類が必要です。

通知カードはあくまでもマイナンバーを確認するために利用するものであり、一般的な本人確認書類としては使用できません。

届き先は世帯の住民地

マイナンバー通知カードは、住民票に登録されている世帯の住民地に簡易書留にて届きます。海外から転入や新生児については、住民票が登録されてから3週間程が目安です。

通知カードは基本、簡易書留で届きますが、不在の場合は郵送物等の不在連絡票が入り、管轄の郵便局で保管されます。保管期限内に不在連絡票に基づき再配送等の手続きが必要。

管理の徹底

マイナンバーの運用がはじまると、企業は従業員やその扶養家族のマイナンバーを取り扱う必要が出てきます。これまでの書類の手続きとは異なるため、企業側も管理を徹底することが重要。

マイナンバーは個人情報のかたまりですから、その取り扱いには慎重さが求められます。もし漏洩して悪用されるようなことがあっては従業員に大きな損失を与えるばかりか、企業としての信頼にも関わってきます。

マイナンバーを活用することで、従業員や株主からの添付書類の削減、情報照会の労力削減が見込めますが、個人の情報漏えいも懸念されています。マイナンバー推進協議委員会は次の4種類を徹底し、個人情報の漏えいを回避するとしています。

1. 組織的安全管理措置

組織全体でマイナンバー管理に努める必要があります。まずは、マイナンバーを取り扱う担当者を決めることで、それ以外の従業員が関わることをできない組織的な仕組みを構築。

2. 人的安全管理措置

マイナンバーを取り扱う担当者への教育を徹底するとともに、企業側もしっかりと監督すること。担当者には定期的に研修を受けてもらうなどします。

3. 物理的安全管理措置

収集したマイナンバーを担当者の机に保管するなどはもってのほかです。マイナンバー関連の書類を保管する部屋を隔離したり、関連書類の保管部屋に施錠をします。

4. 技術的安全管理装置

企業のセキュリティを徹底的に強化します。たとえば、マイナンバーのアクセス権限を担当者や限定された人のみにするうえ、不正アクセスやウィルス対策があげられます。

マイナンバー制度に関するさまざまな情報は地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が運営する「マイナンバーカード総合サイト」からアクセスできます。

詳細はこちら

マイナンバーの対応や管理については「一般社団法人マイナンバー推進協議会」のサイトを参考に。

詳細はこちら

従業員からのマイナンバーの提出

全員からの提供の必要性

企業は全従業員のマイナンバーを取得し、社会保険関係の届出書や税務署への提出書類に従業員のマイナンバーを記載する必要があります。

マイナンバーの利用目的の通知・公表

マイナンバーを利用する際に、利用目的を本人に通知・公表しなければなりません。このとき、複数の利用目的をまとめて公表することはできますが、利用目的以外に利用すること、または利用目的を後から追加することも不可です。

ただし、当初の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲内で利用目的を変更することは、本人への通知等を条件として認められます。

たとえば、雇用契約に基づく税務事務を利用目的として従業員のマイナンバーを取得した場合、その従業員が会社の株主であったとしても、配当の支払いは雇用契約と関連するものではないので、配当金の支払調書作成事務に利用しようとするときは、あらためてマイナンバーを取得する手続きが必要です。

健康保険等の社会保険関係事務にマイナンバーを公表することは、社会保険関係の事務が雇用契約に基づくため、本人への通知により利用目的の変更として認められます。

入手のタイミング

マイナンバーの入手タイミングとしては、従業員の入社時に一度取得すればそれを毎年使うことができます。株主においても、株主になった時点で取得することができるとされています。

入社したばかりや、株主になりたての時期であっても、将来的に源泉徴収票や支払調書を作成することが予定されているのであれば、事前に取得してもかまいません。

マイナンバー提出を拒否された場合

従業員からマイナンバーの提出を拒否された場合、まずは従業員の採用時に「法令で定められた義務」であることを告知し、提出を求めることになります。

しかし、従業員のなかにはマイナンバーの提出を不安に感じる人がいることも確か。これは「マイナンバー制度に対する理解が深まっていない」ということです。

拒否された、あるいは拒否される事態を避けるためには、安全措置管理において基本方針を公開しておくことや、資料等による丁寧な説明を積極的に行っていくことがよいとされています。

番号法において、マイナンバー取扱事務は、事業者・団体にとっては義務的なものでありますが、従業員においては、マイナンバーの提出を義務付ける規定はありません。従業員に「業務を行うために必要なため」ということに理解と信頼を得ることから始めてください。

マイナンバー収集には時間がかかる

従業員のマイナンバー回収率は5割程度といわれています。収集が進まない理由としては、サービス業でみられる「多店舗展開でパート・アルバイト比率が高い」、運輸業や建設業の「日雇い雇用者・短期就労者等が相当数いる」といった流動性の高い雇用形態や収集の対応が難しいこともあります。

また驚くことに、個人が企業へマイナンバーを「提出することは義務化されていない」ことから、マイナンバーを集める義務はあるのに、「提出」は義務ではないという矛盾があることです。言い換えれば、マイナンバーの収集に協力しない社員に対して企業は強制力を持っていない法令の穴が影響しています。

こんな状況によって、全従業員のマイナンバー収集には時間がかかります。これを念頭に定期的にそして時間に余裕を持って、収集を進めてください。

公認会計士・税理士 伊藤 温志

開業8年で600社ものクライアントを有するエクセライク会計事務所の代表税理士。
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